【デンマーク留学】デンマークの農家で過ごす週末

先週末に、WWOOFというファームステイのサービスを使ってコペンハーゲン郊外の農家さんにステイしてきました。

こちらの記事にも書いたように、農業大国デンマークでの実際の農業を見るというのは、留学の目的の一つでした。

【デンマーク留学】留学先にデンマークを選んだ理由

特にわたしは農家の方がどのような経歴を経て農家になったのかという、就農に関するテーマに興味があったので、実際にデンマークの農家さんと直接話してみたいと思っていました。

そこで利用したのが、WWOOF(ウーフ)というファームステイのためのプラットフォームです。

WWOOFとは?

簡単にいうと、WWOOFer(ウーファー)と呼ばれるボランティアががホスト農家に労働力を提供する代わりに、ホスト農家がWWOOFerに食事と宿泊場所を提供する、というファームステイの仕組みです。

WWOOFは、WorldWide Opportunities on Organic Farms の略で、ステイにおける交流を通じてオーガニック(有機)栽培の動きを世界中に広めることを目的にしています。そのため、有機栽培を行っている農家さんがホストになります。農作業を通して自然に触れられるだけでなく、ホスト農家さんと暮らす中で環境への配慮や食の安全に関する考え方を共有できるのが個人的にいいところだと思います。

アジア・ヨーロッパ・アフリカ・オセアニア・南北アメリカと世界中に支部があるので、すべての大陸で利用できます。金銭のやりとりが一切発生しないので、費用を抑えて海外に滞在することができるという点では旅好きの方にもいい仕組みなのではないでしょうか(農作業が苦にならないことが大前提ですが)。

ステイを始めるまで

まずはWWOOFerになる

ファームステイしたい!と思い立ったら、Webサイトを通じてWWOOFerとして登録(有料/1年間有効)をし、ホストを見つけます。登録しなくてもある程度ホストの情報は見られますが、実際にコンタクトをとるには登録が必要となっています。また、デンマークや日本を含め北米やオーストラリアなどホストの数も多くWWOOFが人気な国では、国ごとにプラットフォームが設けられているため、それぞれの国のWWOOFで登録をする必要があります。わたしは日本でWWOOFをしたことがあったのですが、デンマークのWWOOFを利用するのは初めてだったので、25€(日本円で3500円くらい)払って新しく登録しました。これでわたしもデンマークのWWOOFerになれました。

ステイ先探し

登録した後は、自分の希望の条件に合うホストさんを探していきます。自分の場合は週末しか長期で時間が取れなかったので、

・3日ほどのショートステイを受け入れている場所(数週間からしか受け入れていないところは実際多いです)

・コペンハーゲンから遠すぎない

・冬期も受け入れをしている(12月になるとだいたい収穫は終わっているので仕事がない場合も)

といったように絞り込んでいきました。

絞り込んだら希望するステイ先のホストさんに日程を提示してリクエストを送ります。すでにWWOOFerの定員がいっぱいだったり、ホストさんに用事があったりなどの理由で断られることもあるので、何件か候補を持っておくようにしています。リクエストが受け入れられたら、時間や場所の詳細をやりとりしつつ、当日まで待ちます。

こうして今回はコペンハーゲン郊外にある果物農家さんに受け入れていただきました。

ファームステイ1日目

たどり着くのに必死

金曜日に試験レポートの提出を終えた午後、市内のバスを2回ほど乗り継いで、ステイ先の農家さんの元へ向かいました。1時間20分ほどで着くと見越していたのですが、それゆえにだらだらとレポートのフォーマットを整えたり、作業に使う長靴を近所で探し回っていたら家を出るのが遅くなってしまいました。結局2時間くらいかかるうえに、バスの接続が悪く途中30分ほど待たなければならないルートで行くことに。まあコペンハーゲンのエリア内だし、乗り換えの停留所になってるくらいだから、バスをゆっくり待てるお店とか施設くらいあるでしょうと高をくくっていたのですが、実際着くと周りには何もなくて。民家に入るわけにもいかないので、0℃前後(そして16時すぎているので真っ暗)の中、Youtubeでディズニーの短編を見ながら必死に気を紛らわせながら外で待ちました。

最寄りのバス停を降りると、見えるものは道路と木だけでした。ここ本当にコペンハーゲンか?と思いながらGoogleマップを見て移動するも、どうやら曲がる道を間違えたらしく、迷いました。ホスト先の電話番号を確認するべくパソコンを開いて見ていたら(これは番号を携帯に控えてなかった自分がアホすぎる)、たまたま犬の散歩で通りかかった近所の住民の方に声をかけられました。そりゃ真っ暗な路上でパソコン見てたら目立つし怪しいわな。けれど、その方に迷っている旨を伝えてホスト先の住所を見せると、親切に道を教えてくださいました。なんていい国なんだデンマーク。早くたどり着いて寒さから逃れたい一心で、教えられた通りにもくもくと道を進んでいきました。周りには少しの民家と森しかないので若干怖かったのですが、なんとかそれらしきお宅を見つけて、ホストの方に電話をして中に入れてもらいました。この時の安堵感はたまらないものでした。

この時点で、しっかり道順を確認すること冬の北欧は日の入り時間を早めに見積もって動いた方がいいことをすでに学びます。

すてきなステイ先

迎え入れてくれたホストの方は、優しそうなおじいさんでした。奥さんと2人で暮らしながら農業を営んでいるそうです。私の他にも韓国からワーホリで来ている女性の方がWWOOFerとして滞在していたのと、かわいい犬や猫もいたので賑やかでした。

WWOOFerには一人一部屋割り当てられていて、普段ルームシェアをしている身からすると久しぶりにリラックスできる環境でした。

日も沈み作業は終わっていたようなので、到着した日の夕方は「とにかくゆっくりしてて〜」とホストさん。バス停で凍えてきたので、温かい紅茶が本当に身にしみます。お茶を飲みながらホストさんとお話ししていたのですが、若い頃にされていたインドでの農業ボランティア活動や、農場で採用しているバイオダイナミクス農法(有機農法の一種)についていろいろと聞くことができました。

夜ご飯には農場の主要作物であるリンゴを使ったサラダやアップルジュース、そしてオートミール+すりおろしリンゴ+生クリームが合わさった(名前は何ていうのかはわからないけど)とても美味しいデザートをいただき、初日からリンゴ尽くしで圧倒されました。また、普通に留学しているだけだとデンマークの家庭料理を味わえることはあまりないので、なかなか貴重な機会だったと思います。

ファームステイ2日目

農作業と湖と

翌朝から早速農作業のお手伝いをさせてもらいました。リンゴの収穫時期は7~9月頃で、収穫が終わった後に伸びすぎた枝を切るそうなのですが、今回はその切り落とされた枝を列の間にかき集める作業をしました。基本的にデンマークの冬の天気は1日を通した気温差があまりなく、午前中も1~2℃ほど。そのため少し手足が冷えましたが、体を動かしているとあまり気になりませんでした。2時間ほど作業をした後は、「近くに湖があるから見に行っておいでよ」とホストさんに進められ、畑の近辺を散歩をすることに。湖はとても澄んでいて、周りの木々と相まって綺麗でした。聞くとデンマークの中でも最も水が綺麗な湖の一つなのだそう。夏には泳ぐ人も多いんだとか。

これは夏に来たら絶対に気持ちいいだろうな〜と思いながら歩いていました。

ゆるくてヒュッゲな午後

お昼ご飯を終えたあとにはもうひと仕事あるのかなー、と心の準備をしていたのですが、聞いてみると今日のWWOOFerの仕事はこれで終わりだそうで。ホストさんは機械を使う仕事があるため外に出ていたのですが、私は家の中でゆっくりしていました。ホストさんが、自身が出ているドキュメンタリーのDVDを貸してくださったので、デンマーク語で分からないながらもそれを見たり、昼寝をしたりお茶を飲んだり、普段の生活からするとありえないくらいゆっくりしていました。ホストさんが戻ったあとは、わたしの一番の目的であった就農の経緯についての詳しいインタビューをさせていただいたり、リビングの暖炉の前で話したりくつろいだりと、まさに”Hygge”(ヒュッゲ、デンマーク語で「温かく居心地のいい雰囲気・場所・時間」)な時を過ごしました。

ファームステイ3日目

クリスマスツリー刈り

あっという間に日曜日になり、わたしの週末ステイの最終日となりました。この日の午前中も前の日と同じ作業を、もう一人のWWOOFerの方と一緒にしました。この日は3~400mくらいはあったと思われる列を担当したので、仕事を終えたあとは少し達成感もありました。

午後はやはりWWOOFerの仕事は無いようだったので、ホストさんの奥さんと一緒にクリスマスツリーを買いに行くことになりました。デンマークのクリスマスツリーは家庭でも本物の木を使うのが一般的だそうで、近くの畑に取りに行くとのこと。台車を持って10分ほど歩いたところに畑はありました。写真を撮れなかったのが惜しいのですが、一面のクリスマスツリー畑はなかなか新鮮な眺めでした。購入するときは、どこかに切られている木があってそれを持ち帰る、といった流れを想像していたのですが、奥さんはノコギリを持ってきていたのでどうやら違うようでした。生えている木を自分で刈り取るんですね。「あんまり下が広がってなくて、ある程度の大きさがあるのがいいわね」と選別もかなり慎重に行っているようでした。クリスマスツリー畑には他にも刈りにきている家族がいて、みんなで手を使ってクリスマスの準備する習慣は素敵だなと思いました。

刈り取ったクリスマスツリー。

家族の集まり

日曜日ということもあって、その日の夜はホストさんの娘さん夫婦と、息子さんの奥さんの妹さんと彼女のボーイフレンド(遠い)が遊びに来ていたのでお会いすることができました。そうした家族の集まりの中に一外国人として入るのはなんだか不思議な感じもしましたが、さすがWWOOFerを受け入れているお家だけあって、オープンに接してくれたのがとてもありがたかったです。そしてデンマーク人同士でも英語で会話してくれるという気遣い。色々な年代の人がいる親戚の集まりで、こうするのはなかなか日本だと難しいな〜なんて思ったりもしました。ご飯のあとは皆でハンドボールのヨーロッパ大会の決勝をテレビで見るというなんとも家族の日常らしい時間をご一緒させてもらって、ホストさんともお別れをしました。

たまたま娘さん夫婦がわたしの寮の近くに住んでいたので、帰りに車で送ってもらったのですが、なんと30分で着いてしまいました。寒い思いをして2時間かけて行ったこと思い出し、帰国したら免許をとろうと心に決めました。

ファームステイはやっぱり楽しい

3日間という短い時間でしたが、デンマークでもファームステイができて非常に満足でした。その国の人のリアルな暮らしがわかり、農業の現場感がわかり、食や環境に関する意識も見直すことができ(今回のステイ先の食事はほとんどがオーガニック食品でした)、そしてお金は登録費と交通費しかかからない。最高です。また、WWOOFerを受け入れているような方はオープンで社交的な方が多いので、ホストさん以外にも色々な人と出会えることも多いのが魅力的です。そしてこれらはすべて、いいホストさんに巡り会えるに尽きると思います。WWOOFerを受け入れている農家さんは世界中にたくさんあるので、畑の中からクリスマスツリーを選ぶように慎重な見定めと時には運が必要です。

とはいえ、どんなホストさんだったとしても最初から最後まで普段とは違った体験ができるのは間違いないです。農業自体にあまり興味がない人でも、国内や海外を旅行する時などに短い期間から試してみると楽しいんじゃないでしょうか。

食と農・海外留学・その他趣味についていろいろ書きます。東大農学部でお勉強する毎日です。現在はコペンハーゲン大学に交換留学中。 Twitter:@o_o_ho_o_o